片付けない部屋
綺麗になった部屋にはないものに気付いた。
片付けないのは、それから目を逸らすため。
きちんと片付けなくても、何かを探し見つけなければいけないことなんてないから、それなりにどこに何があるのか、わかっている。
何故、片付けたのだろう?
気付かない振りは、もう出来ない。
誰かに言われたわけでも、誰かが訪ねてくるわけでもないのに…
ないものを探そうとしても、出てこない。
風だけ訪れ、気持ちよさそうに通り抜けて行く。
止まらせようとしても、風は止まらない。
一人呆然と風を感じていたら、寒くなってきたので、衣替えをしよう。
部屋にないものから、目を逸らすために片付けない。
目を逸らせば、忘却の彼方へ消し去ってしまえるかのように。